ハーケンと春みかん

2人の子連れシングルマザーと再婚し、1男をもうけた働く親父のドタバタ日記

入籍8ヶ月後の結婚指輪

指輪を買った。
結婚指輪というやつである。

しかもフランスのアクセサリー・老舗ブランドであるCartierのものだ(!)。

 

 

2023年10月に籍を入れてから8ヶ月と随分経ってしまったのだが、妻であるアスが妊娠していたり、引っ越しが重なったり、さらにはそのままハルボーが産まれてしまったりとバタバタ続きであったので、用意するのが季節をいくらかすっ飛ばして初夏になってしまった。

ボクたち夫婦は互いにバツイチ同士の再婚である。

だからと言ってなんなんだ、てわけでもないが結婚式やパーティといった類のものはやらかなかった。

密やかに、ごく親密な関係にある友人や知人に写真入りのハガキを送った程度である。

そんなもんだからボクたち夫婦にとって、この指輪が入籍届に続いてようやく目に見える夫婦のカタチとなったわけだ。

2月に産まれたふたりの子であるハルボーはすくすくと大きくなり、アスの二人の子どもたちと過ごす時間も増え、みんなで毎日寝食を共にしているので、もうどうやったって夫婦なのだが、ふたりで指輪を選び、ふたりで薬指に結婚指輪というものをはめる…という一連の流れは恐ろしく夫婦であることの実感を増してくる。

トキメキよ再び、とまではいかないが、新婚みたいに「これからも末永くよろしくね」とフレッシュな気持ちにさせるからまったくもって不思議だ。

たかだか指輪のくせに。

結婚式やパーティなんかもこれと一緒で、二人の新たなる人生の出発、それぞれの人生のターニングポイントの目印をつけるためにも、儀式めいたものはきっと人の心に必要なのだな…と指輪を購入した帰り道にグリーン車黒ラベルのロング缶をゴクゴクと飲みながら妙に納得してしまった次第である。

 

ちなみにだが妻であるアスはイライラしているときは感情の起伏が誠に激しいのだが、嬉しいことやヨロコビといったことはあまりオモテに出さない。

否、オモテどころかよくよく目を凝らしても出ているようには見えない。

小さじ程度、もしくはオチョコの裏。言うなれば耳かき一杯分程度。

あれ、あなた、ちょっと歩き方が軽やかね、いいことあったのかしら?というほど、なんというか感情の出し方がヘタというか…極度の病的ツンデレな女性なのである。

なんせボクへの誕生日プレゼントを「ふん!用意してるんだから!受け取れば?!」と言って半ばキレ気味に渡してくる筋金入りのモノホンツンデレなのである(実話)。

そんな妻なのでご機嫌ナナメなときは家のドアを開けた瞬間にわかるのだが、喜んでいるときとか嬉しいときとかは目をひたすらにこすって見ても、どうにも区別がつかない。

視力が悪いせいかとも思ったのだが、妻自身自分でも自覚があるのでそうでもないらしい。

そんな病的ツンデレである妻・アスが結婚指輪をはめてからというも、目に見えてすこぶるご機嫌なのだ。

暇があればウットリと自分の薬指を長め、嬉しそうに僕に見せびらかしてくる。

「嬉しそうに見えないでしょう、これでもすごい嬉しいんだよ」と何度も何度も見せびらかしてくる。

妻はピンクゴールドで細いタイプ・小さなダイヤモンドが3個ついたモデルを選んだのだが「ふふふ、私の誕生石ってダイヤモンドなのよ、知ってた?」と、これまた嬉しそうに僕に言ってくるではないか。


正直言って我が家の家計は妻が育休中ということもあって誠に苦しい。

食うまでにはこまらないが、月イチの給料日には毎月収入と支出のため息しか出ない睨めっ子が恒例と化している。

ふたりの結婚指輪は合計して40万弱。

身の丈にあった買い物とは言えないかもしれないが、肌身離さず身に着けることになる結婚指輪くらいは良いものにしたい。

永遠という嘘みたいな言葉を信じるからこそ、多くのカップルたちがその昔から願いを込めたであろう伝統的であり、普遍的なブランドを選びたい。


一晩経ってもキャピキャピと少女のように指輪を見せてくる妻に見送られながら、「いい買い物をしたなぁ」と心底思った。

カードで切った40万はどこの口座から出すかはまだ決めていないのだけれど、せめて指輪くらいは…という思いと、これだけ喜んでくれてるのだからボクが一括して払ってもいいんじゃないか?という思いでいる。